温泉、飲泉、ヨーロッパ。 



それなりに前の話ですが、チェコにある欧州屈指の温泉地カルロビ・バリ(Karlovi Vary)を視察しました。

プラハからバスに揺られてボヘミアのど真ん中へ。

温泉といえば私たち日本人は浸かるものと思いがち、勿論あちら欧州でも浴しますが、飲むんですね、どちらかというと。特にカロロヴィ・ヴァリは飲泉のメッカ、塩気と苦みが強烈に主張しあう普通の日本人が毛嫌いしそうな鉱泉水を飲みに世界中から訪れます。

現地の人もそれが美味しいから飲んでいるわけでもありません。治療で飲んでいるのです。

腎臓、肝臓をはじめ、各種臓器の各種疾患に利く源泉がいつくも並んでいる、それがカルロヴィ・ヴァリのすごいところ。

持病治療のためにこの療養泉を求め、あるいはボヘミアの森に宝石然と光る瀟洒なリゾートに魅せられ、世界中から多種多様な客が集まります。僕が行ったときは中国系の団体客が押し寄せていました。

事情を知る人に聞くと、最近は日本人客があまりいない模様。理由は簡単、経済、通貨。

円安は相対的に日本のGDPを下げ、今や中国の半分、一人当たりGDPは先進国最下位の水準になりました。日銀による空前の円供給戦略ではエネルギーを除いた消費者物価Iは上がらず、需給バランスがより直接的に影響する通貨市場では因果明確に円安になりました。円安で割安になった日本の金融資産を外国人が当たり前のように買い、前から株式を持っていた日本人の富は増加し、また資源輸入国である日本のエネルギーコストも当然のように増加しました。

歴史上、今の日本と同等であるGDPの2倍規模の債務を積み上げた数少ない国のひとつにイギリスがありますが、イギリスは超インフレを起こし実質的に借金を棒引きさせ債務問題を解消しました。今の日銀の場合、経済が成長せず、増税できなければ、高度のインフレしか借金を減らす方法はない、といっているようにも見えます。

ボヘミアの深い森にも見られる日本の没落。平成元年就職組としては忸怩たる思い、しかしそれに留まらない複雑な心境にさせられます。

そんな時は、カルロヴィ・ヴァリを発見したカール4世にでも想いを馳せてみますか。

プラハで生まれ、若くから今のフランス、イタリアを渡り歩いたボヘミアの父でありドイツの王だとか。

どんな人だったのだろう?

僕のカルロヴィ・ヴァリ紀行は名水めぐり「マットーニ」編をご覧ください。

https://www.mizuhiroba.jp/meisui/sp/mattoni.html

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