静かなる詩情
国立西洋美術館でヴィルヘルム・ハンマースホイ展に行きました。夏のジャン・カミーユ・コローに続き落ち着いた色調の作品群がまた東京に来ているわけです。
19世紀末のデンマーク・コペンハーゲンに生まれ住んだというハンマースホイ。彼の作品を初めて目にした今回の印象は「薄暗い」そして「静か」。ロンドンのロイヤルアカデミーオブアーツでのキャッチフレーズThe Poetry of Silence(静かなる詩情)そのままです。
室内画がほとんど、しかも自宅を中心に描いている。
http://www.shizukanaheya.com/room/index_flash.html
色彩は全体にモノトーンで、いくつかに登場するロイヤルコペンハーゲンのパンチボウルがよいアクセントになっている。基本的には写実路線のよう、奥さんの肖像画などは写真以上に写実的(?)、所詮他人であるカメラには無理とでも言わんばかりの見つめ方で再現されたパートナーの表情は3次元にも見える。
それはいいのですが、今回面白いと感じた点が2つほど。
1.部屋にいる人物の圧倒的多数が背中を向けている。表情は後頭部など参考に想像するしかない。
2.部屋が空っぽ。1:1で向き合うその部屋はもう一人のパートナーのよう。
一連の作品群をざっと鑑賞してから、ハンマーストイという人は非常にシャイな人なのではと勝手に空想した次第です。
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