全国飲泉めぐり 2.与一温泉(栃木県大田原市)

アトピーに効くという、飲みやすいアルカリ性単純泉。

(左)本館の前で。小職。

東北道矢板ICから20分程で本日の目的地である与一温泉に到着。
源平の合戦で那須与一が願をかけたという温泉神社、その例大祭にあたる日に湧き出したのがこの与一温泉ということだ。アトピーに悩む方々が遠方から訪れることで知られる。突然訪れた我々を暖かく迎えてくださった女将さんと息子さん。いろいろなお話を伺うことができました。

アトピー治療への二人三脚

泉質はアルカリ性単純泉。昭和53年の法改正以降、カルシウム-硫酸塩泉といったように主な含有成分で泉質が表されるようになった。泉温が25度以上で1kg中の溶存物質が1000mg未満のものは「単純温泉」に分類され、その中でpH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉というようだ。

一般的にアルカリ性単純温泉の適応症(効能)は入浴の場合で傷、神経痛、関節痛、慢性消化器病など、飲泉で軽い胃腸炎、通風など、といわれているが、アルカリ性単純温泉の中にも違いがあるだろう。その違いを探るのが今回の目的でもある。一方で禁忌症としてはこの温泉の場合は急性疾患や高度の貧血などがあるという。

アトピー治療で評判の高い与一温泉を訪れた過去のお客さんには、5年もの間入浴と飲泉に通い続けた結果お子さんのアトピーを完治させた親御さんもいらっしゃるという。
母親の愛情や責任感といったものを超える何かがありそうだ、5年間信じ続けられる何かが。ただ、他の例を伺うと大体が数ヶ月というスパンで症状が改善しているらしい。

遠路はるばる入浴と飲泉に訪れる方も多く、来れない時は温泉水を送ってもらう方も結構いらっしゃるとのこと。

なぜアトピーによいのか?

アトピーが治った実例が多数あることは確かに分かった。どう効くのだろう。女将さんのご好意で充分に堪能できた入浴と飲泉の最中に考えた。入浴で体を沈めたとたんにお湯が肌にまとわりつき、肌表面がつるつる、ぬるぬるする感じ。源泉を飲む。酸性泉や含鉄泉にあるような強い味のクセはなく結構飲みやすい無色透明の温泉水。

日頃の習慣通り、成分データをチェックする。

館内の成分掲示表によるとpH値はアルカリ性の9.06。泉温45.6℃(風呂は加水なしの源泉そのまま)。他の成分と比較して突出して成分は陽イオンではナトリウム(136mg/kg)、陰イオンでは炭酸水素(161.5)。遊離成分ではメタケイ酸(64)。
直接的に皮膚に関わっていそうなのはメタケイ酸で、64mg/kgという水準は比類無きというものではないが他成分との相対においてもしかしたら絶対値以上の効果を発揮しているのかもしれない。九州のとある温泉水はアルカリ性ゆえに還元力が高いということで人気がある。であればこの温泉水も還元だとか生活習慣病にもよいのかもしれない。また、表にはないがここの炭酸水素ナトリウムが皮脂や分泌物を落としてつるつるにしているという専門家もいる。


最後に女将さん自ら源泉採水場でお湯を注いで下さった。東京に戻ったらさっそく試してみよう。(写真は女将さんと水広場責任者の林君)。

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