全国飲泉めぐり 5.早池峰霊水(岩手県和賀郡)
宮沢賢治記念館のある花巻市の隣、早池峰山麓の裾野に良質な地下水があった。昭和52年にこの地下150mの地点から発見されたのがこの早池峰(はやちね)霊水。冷たい深井戸水であって温泉水ではなく、温泉水を飲むことを意味する「飲泉」ツアーのど真ん中には位置しない。しかし今回他の訪問地同様、水広場会員の方からの直々のリクエストがあってツアーに加えた源泉であり、外せない。結果的に訪問は正解だった。
この源泉の所有者であり原水をボトリングしたミネラルウォーターを製造している佐々長醸造さんを訪ねる。この名水を使ったつゆを主に製造している食品メーカーである。今回の訪問では工場長さんの案内でまず水源とボトリング工場を視察。
北上山地の最高峰である早池峰山(はやちねさん)に連なる場所に位置する源泉。
この水源のすぐそばを掘ったグループもあったそうだが出てきた水質は全く違ったものだったという。
酸性含鉄系と単純硫黄系の両方が同じ一軒温泉宿で見られる鷲倉温泉同様、地上からは同じ場所ながらそれと大きく異なる複雑な地下層。僕のような凡人の想像を遥かに超える。
充填工場はしっかりと衛生管理に注意が払われている。この水を欲するお客さん向けに限定しているのか、出荷量は少ないようだ。それらのお客さんのほとんどは健康への何らかの効能を目的としているという。通風、高血圧、肝機能などの改善に役立ったという生の声が多く寄せられている。
社内には150mの地下層の詳細な表示がかかっている。各層のサンプルもある。かつては海底であったこの地が隆起し遥かなときを経て形成された地層というものがビジュアル的にインプットされる。そんな特別な地層で磨かれた地下水をその場で試飲する(冒頭の写真)。清冽な味わい。体にすっとしみ込む感じがとても爽快だ。しゃきっとする。
成分としてはpH7.96の弱アルカリ性の軟水。カルシウム、マグネシウムといったミネラルイオンやケイ素などその他成分の構成が全体として優れていると直感した。これであれば毎日飲むだけでなく、お茶やコーヒー、炊飯などにも使えるはず。聞いてみたらそれらの用途でも実際に人気があるとのこと。
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