飲料水中のウイルス等に係る 危機管理対策について
以下、参考までに抜粋です。出所:厚生労働省 飲料水中のウイルス等に係る危機管理対策に関する研究 平成17年度 総括・分担研究報告書
・ウイルスによる過去の水系感染事例の整理・解析
飲料水に混入したウイルスが原因と推測される水系感染症の流行があり、患者及び飲料水の両者から原因ウイルスが分離又は検出された事例について、文献情報に基づき既存の知見を取りまとめた。その結果、ウイルスの水系感染が確認された事例は、いわゆる上水道などが関与したものではなく、井戸水などを原水とした小規模水道による場合がほとんどであった。また、事故発生の経緯をみると、浄水処理過程のうち、特に、消毒工程の不備・不具合によるものがほとんどであった。したがって、適切な管理が行われている水道施設であれば、ウイルスの水系感染は起こり難いと考えられる。しかし、水系感染症が発生した場合は、飲料水が原因であると確定するまでに時間を要し、結果として大規模な感染症の流行につながる恐れがある。そのため、万一の場合に備えて水道では日頃から十分な対策を講じておくとともに、水道水が原因で水系感染症が発生した場合には迅速に対応することが望まれる。
疫学的に確認された水系感染症は発生していないが、水道水からウイルスが分離・検出された事例もある。ウイルスの分離・検出率は、数%レベルから 100%までさまざまである。これらの分離・検出事例で、培養法によって分離されたウイルスは感染性を有したウイルスであるため、ウイルスの水系感染につながる可能性が示唆されるが、遺伝子検出のみでは水系感染の可能性を結論付けることはできない。いずれにしても、外見上問題がないような飲料水にもウイルスが混入している可能性は否定できないので、日常の浄水処理工程の監視が重要である。
水道水の原水となっている河川水等からのウイルス分離・検出事例をみると、ウイルスの分離・検出率は概して高率であり、分離・検出されるウイルスの種類も多い。したがって、浄水処理にあたっては、原水にはウイルスが混入しているという前提に立つべきである。
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