身近なスイングステイト
米国の選挙で注目された接戦州と呼ばれるスイングステイト。右にも左にも振れる州。
「ウィスコンシン、ミシガン、ついにはペンシルバニアでバイデン逆転」と聞いて日本の左派は喝采、右派は絶句。国会は勿論、こんな風景をとっても日本も分断されていると分析するのは表面的に正しく、深層において不正確に見えます。
我々東アジア諸国は国際関係を縦に見、西欧ではどちらかといえば横に見る傾向があると思います。
1648年以降、基本的に勢力均衡で成り立ってきた西欧、他方1強に従う傾向になるバンドワゴン優勢なアジア、そのような歴史文化的背景が作用しているかもしれません。
現代ドイツの例をとれば、先の世界大戦の敗戦国であり安保上のアメリカ保護領として日本と共通しますが、真上に見るアメリカにぶら下がるのが日本、超大国となったアメリカに庇護される格好ながら横からの牽制を狙うドイツ、というのが現地駐在経験のある当職の皮膚感覚です。
戦後日本はアメリカを日本の必要条件と自然にわきまえ、逆にドイツはアメリカによる包含感を忌避してきた、この違いは外交力の優劣で測れない文明的な差異と考えたほうが私的には捉えやすい。
ぶら下がっているがゆえに、日本では他人事であるアメリカ大統領選挙結果を自分事として論じ、どのメディアも自分達が世の当事者となっていない事に触れません。
永く縦の世界観の一員である日本、上に据えるのは一番強い国でないと理に合いません。
アジアで中国パワーが強まる自然な圧力の中、誰が指導者だろうと中長期的にアメリカはハワイぐらいまで退く可能性は高まり、そうなれば日本がかつぐ国は中国に代わるのは時間の問題ということになります。
黒塗りの教科書でそれまでの世界を全否定されながら新秩序に順応したのが日本、これからの大転換も想定範囲、スイングステイトはまさに我そのもの。
それゆえに、日本たる日本である為にはリアリストの観点から自立独立の道を模索する必要があると思います。
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