オーケー・花王からも透けるデフレの本質

物価を上げるには相対的にマネーを増やせばいい、つまりMV=PQのMを増やせばPも上がるというモデルは通用しなかった。

CPI構成品目数の26%を占める最大セグメント、食料。

そのいびつな流通構造、慣行、そこに加わった株主資本主義で、当該業界、少なくとも加工食品セクターにおける小売価格停滞のおおよその説明がつくと私は仮定しており、時間さえあれば検証に挑みたいと思っている。

加工食品セクターの中でもデフレが目出つのが飲料であり、そのひどい飲料セクターでも特にデフレエンジンとなった品目がミネラルウォーターであることが当方調査で判明。(下図参照、青がミネラルウォーター、黒が飲料、2020年を100として指数化した)

ちなみに別図のとおりデフレ経済の中でも安定的に価格上昇を続けているのが授業料(青:ミネラルウォーター、茶:大学授業料、2020年を100として指数化)。
ミネラルウォーターを生業とし子供も持つ当方家計状況の説明には丁度よい。

もうじき還暦が見える当方の生活などどうでも良いが、デフレで静かに潰れていく日本のこれからが心配でならない

消費者物価(除く生鮮品とエネルギー)が上がらなければ賃金も上がらず、カネがないため若者は結婚できず、結果少子化に歯止めかからず、低賃金固定化で横の格差が進行、そして社会保険構造による世代間不公平(縦の格差)も発生した。全体賃金停滞はGDP停滞であり、多数の貧は多数を不幸にする。

最も多数を不幸にする経済状態がデフレ。

オーケーストアVS花王の例もデフレを生んできた流通構造、慣行、株主主義が構成する氷山の一角にすぎない。オーケーはその多くの競合小売と同様、安くすることでしかモノを売れない、故にまともな水準の給与も払っていない会社。食品流通におけるセクター賃金を上げるには、小売リベート制度の廃止、不当廉売の範囲の見直しといった部分は行政の責任で何とかできるはず。そして川下に比べ統合が進まず弱小規模が多すぎる川上の食品製造セクターの横の連合を進め付加価値の分配バランスを少しでも改善すること。ついでに言うと食品流通における縦の力関係のアンバランスは売る側の人たちの尊厳も奪っている。


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