全ては粗利なんだよ、stupid。

低賃金が日本経済の最大課題の一つであり、政策担当者達がやっと腰を上げたのは嬉しいのですが、出てきた解決策がリスキリングやら人材流動化やら、大して効果の無い施策に走っており唖然としました。

経営者が売上総利益(粗利)を重視すれば多くの重要課題が解決するという大原則が軽視されています。日本の企業の多くが過少粗利に甘んじているから真っ当な人件費が捻出できないのですから。

過少粗利の主因は安価販売。川上から川下まで適正粗利を確保すれば賃金原資は得られます。(その後の株主等ステークホルダーとの分配論は二次的につき別の機会に)

粗利を増やすには売価を上げればよい、それが何故できない?

政策担当者が指摘していない点として、実は売る側自体が粗利を重視していない事が挙げられます。巷で言われる川上の中小零細企業は弱い立場で値上げできないという側面、それは裏を返せばそれでも存続できるのは賃金の犠牲と潤沢なセーフティネットワークメニューが揃っている事でもあるわけです。

皆、順番を誤っています。まずは適正価格で売る事、それができないのならできる製品サービスをつくる、交渉力を得るために同業と協働ないし一緒になる、それら全部無理なら潔く会社をたたむ。

過当競争であろうが何であろうが、売れるために従業員の給料をケチるという事では本末転倒、経営者失格という事になります。

川上から川下まで粗利を重視すれば必然的に売価を上げざるを得ません。原価を叩いて粗利を確保する事ができませんから。

粗利経営が優れているもう一つの理由は経常利益から純利益までの部分を良い意味で軽視できる事。

経営を苦しくさせる日銀の利上げは絶対反対という専門家?の方達がいますが、中小零細企業には過剰ともいえる制度融資が揃っているし、利上げシナリオを想定していない大企業があれば経営者失格でしょう。そもそも個別融資の金利変更の判断は市中銀行が担います。経営の本質は戦略構築、つまり粗利適正化であり、財務はその次の次ぐらいで丁度良いでしょう。

私は自分の会社も自身も運転資金融資と住宅ローンの債務者という立場ですので金利が上がると勿論負担は増しますが、日本の異常な人為的低金利は自然に反する状態、よって金利が上がることに賛成です。そして弊社は立派な?零細企業です。

パパブッシュがクリントンに負けた時の有名な言葉、「経済なんだよ、stupid」ではありませんが、政策担当者には今の日本では全ての施策につき、それが川上から川下までの「粗利」を適正にするためにプラスになるか否かを第一基準とする事を希望します。

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