日本が韓国と和解できない理由?

コルビー大学(Colby College)のウォルター・ハッチ教授の新書。

同じ敗戦国である日本とドイツ。ドイツは侵略した欧州各国と和解できたのに日本が今だにできていない理由として、日本の謝罪が足りないからだという従前の潮流を否定し、構造的観点からアメリカに責任の一端があると鋭く指摘している。

戦後の安全保障体制においてNATOによる水平的かつマルチな共同防衛体制に組み込まれたのがドイツ、一方の東アジアのアメリカ同盟国はそれぞれがアメリカとバイで構成された為、日本と韓国は目的共有ができなかった。

生意気に水広場的書評を言わせてもらえば2点ほど。

1.「ドイツは侵略した国々と和解し日本は違う」という前提は雑かもしれない。ドイツはナチスに責任を被せる事で国・国民の責任を逃れた真実は周知、その証拠にポーランドなどは現在も巨額な賠償金を求めている。一方、日本が侵略したとされる複数の国地域が親日。

2.アメリカとのバイラテラル関係が並走する構造が影響した点に同意、加えるならば、先の大戦の遥か前から東アジアは隣国を横に見ず常に縦に捉える伝統(?)がある事。隣国をカズン(従妹)として横に見る西欧と違い、自分より上か下に見る傾向;中国は他の全ての国を下に見るし、韓国も歴史的に自分達が日本より上だったはずなのにという悔しさからか慰安婦の言いがかりを恥じず、また近代日本は中国と韓国を経済的豊かさで見下してきた。

いずれにしろアメリカのアジアでの立ち位置が変わらない限り本件の和解という目的の達成は困難であろうと思う次第です。

政治的立場は横に置きこの書評で言いたいのは、視点を俯瞰的にする意義、です。

ついでにテーマ逸脱しますが、GHQが去って80年も90年もアメリカ保護領体制が続くようであれば、客観的に見れば極めて現実的なシナリオたる彼らの東アジア撤退に伴い、日本は中国共産党から核の威嚇を受け一気に彼らの支配下に入らざるを得なくなると予想します。その流れは当方尊敬するハンティントンの指摘でもあります。

そうなったら、吉田茂という人はかつてあった日本という国を滅ぼした他者依存体制を作った人物として後世に刻まれるものと思われます。

そのような事態を現在の世界において現実的に防ぐには自主防衛しかなく、また、主権(sovereignty)という言葉が歪められて植え付けられ、そもそもその成立に正統性が欠如した現「占領憲法」の廃絶が当然と考えるのが真っ当な倫理規範だと思っています。考えれば考える程、私的には不文憲法が最適という結論になります。

https://www.press.umich.edu//11683923



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