ハンティングトンとミアシャイマー
90年代、「文明の衝突」で文化的紐帯の重要性を論じたハンティングトンは、人類の争いを国家間レベルで語るミアシャイマーのようなリアリストの立場と距離をとり、文明上で重なるウクライナとロシアが戦争することはないと書きました。
それから四半世紀、少なくともウクライナに関してはミアシャイマーが正しかったことが証明されました。
名著、文明の衝突ですら、将来の予想を見誤る。真の保守的日本人がとるべき姿勢とは、識者の評判の良さから自ら考えずハンティングトンを絶賛するのではなく、何度も読んで評論すること。当方が読んだ限り、アメリカにはびこる西欧普遍主義を否定した「文明の衝突」の目的はアメリカを否定することでも何でもなく、西欧文明のリーダーであるアメリカの覇権を少しでも長引かせるため、認識の幅を広げるべきだと警鐘を鳴らすもの。彼は西欧文明の優位を長引かせるために重要な8点を挙げていますが、その一つが「日本が西欧から離れて中国との和解に向かうことを少しでも遅らせること」とはっきり書いています。
私が読んでいるのですから政府関係者の多くは同書を読んでいるはず。つまり、こんなところからも、戦後の日本はずっとアメリカの妾であることを自ら知りつつその立場に甘んじてきたことがわかります。
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