激安販売と市場創造

市場創造の続き。

実際に市場を見ると、一部販売者の間で恒常的に過度の割引販売が行われていることがある。そこでは、人気ブランドが廉価ルートで仕入れられ(例:並行輸入品)、最安値で大量販売され、それ自体では利益を生まないけれど、競合相手の顧客を引き寄せ、また販売時にリストとして得る顧客の一部に他商品を販売し利益も回収する目的があると聞く。

ミネラルウォーター市場でも一部有名輸入ブランドにこのような実態はある。僕らは激安を激安で追随すべきか?消費創造の観点で捉えるとこのような例の激安は市場破壊となり、パイ全体の拡大も目指す僕らにとってそれはすべきでないと確信した。

簡単な例で示すと、これまで100人の消費者が全て正規品を正規価格1本200円で買っていたとすると市場規模は20000円、そこに120円の激安品が現れ80人が激安に移行(同9600円、メジャーブランドの飲料・日用品の価格弾力性は非常に高い)、20人はそれでも正規価格で購入(同4000円)、20人が初めてその商品を買い市場が創造された(同2400円)と想定すると、市場規模全体で16000円となり、市場は20%縮小したことになる。

激安販売が製造ないし流通上のイノベーションによるものであれば市場全体で損害は生じない。しかし実際の激安の多くはイノベーションではなく、他者(正規販売者)が長年築いたブランドエクイティの横取りと変わらず、資金力さえあれば誰でもできることだ。

買うお客様からすれば激安は大歓迎、しかし、原産国における小売価格と変わらない値段を日本で見たらどう思われるであろう。品質を疑うべきであり、中間業者のどこかで過度なコスト負担があると想像すべきで、いずれにしても維持可能な姿ではない。

どれだけ売上高が欲しくなろうとも、弊社はブレることなく、地道に少しずつ、水を愛するお客様を増やしていくだけである。

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