魔法の言葉(1)
相手あっての言葉はいつも困難。コミュニケーションの色んな材料との格闘が僕の毎日、そんな日常の中で時たまドキッとする言葉との出会いがある。使いようでは魔法になるのがコトバ、そんな体験例をふたつ。
①崩壊から栄光へ
僕が「チームバチスタの栄光」のハードカバーを買った理由は、どこかの書評で天才外科医のミステリーである点に加え日本の社会問題である検視の問題に切り込んでいるとの記事を見たこと、そしてタイトルにどこか惹かれたものがあったから。
最後まで一気に読ませるエンターテインメント性で十分楽しめるけれど、僕がこの作品で「なるほど」と感嘆させられたのは本文でなく、解説でこの本のタイトル名が変更されていたということを知ったときだった。
世界的名声を持つ天才外科医のチームが手術の失敗に関わる事件をきっかけに堕ちていく内容のこの作品タイトルは、もともと「チームバチスタの崩壊」だったらしい。
内容をより正確に表現したオリジナルタイトルのままであったとしたら、僕はこの本を買わなかった可能性が高い。さすがプロ、といいたくなるセンス、「栄光」に変わっただけで作品がすっかりとカラフルになり、心地よい想像の余地をつくり、陳腐な火曜サスペンスが話題のミステリー大作になってしまったかのような(おおげさ?)、そんな効果をもたらしているような気がしてならない。
こんなセンスが僕らにも必要だ。
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