静かなる詩情

国立西洋美術館でヴィルヘルム・ハンマースホイ展に行きました。夏のジャン・カミーユ・コローに続き落ち着いた色調の作品群がまた東京に来ているわけです。

19世紀末のデンマーク・コペンハーゲンに生まれ住んだというハンマースホイ。彼の作品を初めて目にした今回の印象は「薄暗い」そして「静か」。ロンドンのロイヤルアカデミーオブアーツでのキャッチフレーズThe Poetry of Silence(静かなる詩情)そのままです。

室内画がほとんど、しかも自宅を中心に描いている。

http://www.shizukanaheya.com/room/index_flash.html

色彩は全体にモノトーンで、いくつかに登場するロイヤルコペンハーゲンのパンチボウルがよいアクセントになっている。基本的には写実路線のよう、奥さんの肖像画などは写真以上に写実的(?)、所詮他人であるカメラには無理とでも言わんばかりの見つめ方で再現されたパートナーの表情は3次元にも見える。

それはいいのですが、今回面白いと感じた点が2つほど。 

1.部屋にいる人物の圧倒的多数が背中を向けている。表情は後頭部など参考に想像するしかない。

2.部屋が空っぽ。1:1で向き合うその部屋はもう一人のパートナーのよう。

一連の作品群をざっと鑑賞してから、ハンマーストイという人は非常にシャイな人なのではと勝手に空想した次第です。 

ミネラルウォーター体験レポート:水素水(3)

睡眠時間。

水素水の実験中であることを忘れたかのように連夜大食を続けています。実験だからと節制したら因果を探るノイズになるので当然と開き直りましたが、それは朝食抜きと一体ですから、一日のカロリー摂取の平均時刻(?)がより就寝時に近づきます。一日のカロリー摂取の加重平均時刻なる指標があれば今の自分は夕方近くということになり、それだけで不健康な印象を発していると思われます。

しかも昨晩は早く寝ている。大食後にすぐ、子供と一緒に。9時前です。起きたのは6時。なんと9時間も寝ている。最近は疲れていても5、6時間で必ず目が覚めていたけれどそれが1.5倍に急増、というより小学生並みに退行?

水素水実験の開始後、健康体の自分が自覚したとしたらそれは睡眠の快適さかもしれない、というレポートを前回したけれど、これは水素水に影響されているのか?

体調は至って良好です。体の細胞レベルで還元が進んでいることを期待しつつ、あと少しになりましたが実験を続けます。  

ミネラルウォーター体験レポート:水素水(2)



水素水(水の元素)を飲み始めてから5日。2週間の実験期間もそろそろ半分。さて、変化は?

うーん、変化らしき変化はない。(体調が最初から良いので当然かもしれないけれど)

ただ1点、1週間前と比べると目覚めがすっきりとした気がする。熟睡ができている。これはひょっとするとと思いつつ、その間は会食などもあって結構お酒を飲んでいたり、家庭内が円満であったり、いろいろと考えられるので原因の特定は困難だ。

還元。酸化イコール老化とすれば、酸化の反対である還元はアンチエージングということになり、体内にある過剰な活性酸素を除去する可能性を想定している水素水の目的もアンチエージング。自分の体内で活性酸素が除去されていることを期待しつつ、体験を続けます。

150の素材

取引先である東京ベイコート倶楽部のビジネスパートナー・パーティーに出席。

それは東京ビッグサイトとパレットタウンの中間にそびえる凱旋門型の巨大施設。全国で「エクシブ」高級リゾートを持つリゾートトラスト社による運営で、日本から世界に向けて発信される最高のホスピタリティ体験、というそのキャッチフレーズを実感できる空間。

印象に残ったのは、ディナーショーの最後でシェフが言われたコメント、「一つのメニューに150の素材を使っています」。なるほど、香野菜入りのアントレときのこのクリームスープ、最初の2皿だけでも「この味が作り出す空間は星空のように広い」?などと生意気なセリフの衝動に駆られてしまったのは、その稀に見る精巧な過程に(料理を介して)接したおかげ、と感慨に浸ったわけです。

会員制の倶楽部とはいえ、レストランは会員でなくとも予約できるとのこと。個人的には、仕事を納得できるまでこなした後で、次回に客として予約します。その数時間の体験はきっと自分を高めてくれる、と思いつつ。 



テーブルナプキンまでもベイコート倶楽部のロゴ「翼」状にたたまれている。

ミネラルウォーター体験レポート:水素水

ブログ開設を機に、改めてミネラルウォーターによるカラダへの影響を試してみることにした。

実験台は私自身。41歳、男、日本人、中肉中背、B型、ほぼ健康(肝臓が若干弱い程度)、運動不足気味、メタボリック、血圧何とか正常値?(120-80)という、ごく普通の日本人中年男性です。対象ミネラルウォーターを一つ決め、2週間毎日飲み続けて体に感じた変化や無変化を記録していきます。

今回対象のミネラルウォーターは、機能水の中から水素水を選択。その理由は:

1)還元(アンチエイジング)についてもっと体感してみたい。

2)以前サンプルで飲んだ際の印象が良かった。

3)この実験の想定中にたまたまアイロム製薬さんからサンプルをご提供頂いた。

の3つ。



(実験対象の水素水「水の元素」200ml入り。水素を逃がさないアルミパウチ)

この水は毎日1本から2本が適量(1本200ml)。体調、熟睡度、疲労感、トイレ、血圧、肌具合、その他、何かしら変化があるかのか、あるいは無いのか、2週間ほどですが、これまでの日常生活パターンを変えずに、試していきます。

一日2.5L?

多くの医師から日本人の水分補給は不十分であると聞いた。

 お客様に対して「たくさん水を飲みましょう」と言っている仕事柄、自分自身は当然ながら十分に摂っていると思い込んでいる。大人が一日に必要とされる2.5Lもクリアしているものと信じている。だけど本当にそうか?よし、昨日の水分補給をおさらいしてみよう。

 6:15 起床:水道の蛇口から軽く1杯(100mlくらい?)。

 7:40出社:自転車で少し体が熱くなり、事務所にある非販売品のミネラルウォーターの中からラベル不良品ボルセック500mlを1本ピックアップ(賞味期限切れてから更に1年以上も経っている!飲んでみたら炭酸は弱っているものの問題なくいけた。それがミネラルウォーターのいいところ)。

 11:45 ランチ:近所のオリジン弁当でのり弁当を買ったついでに伊藤園のお茶500mlを求める。弁当の水分は100mlぐらい?

 14:30 コーヒー:肩が凝ってきたので気晴らしに近所のドトールでブレンド持ち帰り。100mlぐらい?

 16:00 喉が渇いて朝と同じボルセック2本目、途中まで(約250ml)。

 19:30 夕食。酎ハイ500ml。食事メニューからの水分300mlぐらい?食後のお茶約300ml。 

 21:00 軟水ミネラルウォーター約250ml。

 合計2.9L、よし、クリア。と思いつつ、夜にあった酎ハイ500mlが気になる。それを引いてしまうと2.4L。微妙なところです。

 明日からミネラルウォーターだけでも1.5Lにしようと思います。全て500mlなら別々な銘柄の発泡2本に無発泡軟水を1本、そんなバリエーションを楽しみながら。

 最終的にはワインも含めたアルコール飲料もミネラルウォーターで代用するつもりです(本当に?)。知人で水専門ポータルをやっているマイケル・マッチャはそれをしたそうですが、はたして。 

2008~2009 NBA Season

10月からNBA(National Basketball Association)シーズンが始まる。

昨季は本当久しぶりにボストン・セルティックスが優勝しました。連覇は正直難しいと予想しますが、一応1985年から応援していて今更浮気をするつもりはありません。とにかく頑張って下さい。

1985年冬、セルティックスの本拠地で妖精が住んでいるとも言われたあのボストン・ガーデンを訪ねました。貧乏学生にはチケットなど買えるわけもなく、ただテレビでよく見るその建物からチームに近づきたかっただけです。マケイルの等身大パネルだけがゲートで迎えてくれました。当時、ラリー・バード、ケビン・マケイル、ロバート・パリッシュを擁するセルティックスは最強であり、見る者全てをエキサイトさせてくれる無敵のプロフェッショナル集団でした。そしてそのシーズンは見事優勝で飾ってくれました。

その頃NFL(アメフト)の世界では、ニューイングランド・ペイトリオッツがスーパーボウルに出場するなど、ボストン中が沸いていました。出場を決めたマイアミ・ドルフィンズとの試合前には、地元ラジオ局が”Beat the fish, you’ve got to, beat the fish”とか言って、たしか当事はやっていたKeep the faith?とかいう曲の替え歌で、ボストン中を煽っていました。

1986年MLBでは、ボストン・レッドソックスがア・リーグを制覇、ナ・リーグの覇者NYメッツと対戦しました。メッツの監督は元巨人のデイブ・ジョンソン。ボストンには若きクレメンス。シリーズ3勝2敗の王手で迎えた第6戦、2点リードであと一人でワールド・チャンピオンというところまでいきながら、最後はボテボテのファーストゴロをバックナーが見事にトンネル、メッツ大逆転。ライブで見ていましたが、驚きと興奮はいまだ鮮明です。そのままメッツは連勝、逆転ワールドチャンピオン。

1988年、ボストン・ブルインズはNHL(アイスホッケー)スタンリー・カップ・ファイナルで、あのウェイン・グレッツキー率いるエドモントン・オイラーズに食い下がるも結局準優勝。舞台は勿論、あのボストン・ガーデン。

こうしてみると、4大プロスポーツが年間通じ途切れずに楽しめるアメリカって国はすごい。その全てに強力な地元チームを持っているボストンなんて都市もある。

誤解無きよう、僕はヨーロッパが大好きで、「サッカー」のことも「フットボール」と呼びたいほどですし、そのフットボールが一番好きなスポーツです。一方でアメリカという国は、国内だけで十分楽しめてしまい完結する、そんな側面を持つこともわかります。

とにかく頑張ってください、セルティックス。

検査機関のモラルハザード

5日のニュースにあったように、某食品検査機関が実際に検査をしないで検査合格証を出していたことが発覚した。そこは大手なので弊社もミネラルウォーター輸入で使ったことがあったが、幸いにも、弊社ミネラルウォーターはちゃんと検査されていたことを確認した。輸出用のマグロなどで無検査の事例があったというが、統計上、不合格の確率がかなり低かったため、検査の意味合いが担当者の中で薄れていってしまったとのこと。

ミネラルウォーターは毎年検査が必要であり、当社が輸入する商品の場合、海外のボトリングのメーカーから直接東京の検査機関にクーリエでサンプルを送ってもらい、その結果発行される検査成績証明書を検疫所に提出し、輸入許可を得ている。

今回の件で、検疫所がその検査機関が発行する全ての成績証明書(ちゃんと検査されたものも含む)を受理しないとの通達が出た。弊社はたまたまその通達の日に東京港に入ったばかりのコンテナがあり、その商品を1ヶ月前に検査した機関がそこだったため、通関が切れずに港でスタックしてしまった。8月にちゃんと合格しているのに、その検査機関の一人の不祥事がこのようなことにつながってしまう。別の機関で新たに検査をするという非常事態、それらには弊社のような輸入業者から検査依頼が殺到している。

お客様への納品を予定していたので、とにかく別機関での検査を終わらせ、通関、入庫を迅速に進めないといけない。今日その機関の人に会います。

モラルハザードはいろんな場所にあるものだと痛感しました。

食品不正問題&サブプライム

三笠フーズによるコメ不正転売がアサヒビールの芋焼酎にも波及しているという。

「えっ?」。米と芋焼酎で無関係に思えるが、芋焼酎は米こうじに芋を混ぜた原酒から造られていると記事にある。それは「かのか芋焼酎25度」、確か僕も買ったことがある。

その主原材料はコメと言えなくもなく、コメの用途は広いんだと他人事のように驚いたと同時に、例のアメリカの住宅融資に始まった世界的信用収縮問題に重ねてしまった。原材料としてソース(調達)されるコメは証券化の原債権(住宅ローン)のようなもので、それが多数他業態の会社で加工され多種多様に姿を変えていく。

焼酎もほんの一例、焼酎メーカーはコメ麹を他社から仕入れるからコメ麹の原材料であるコメの品質まで把握できず、そこにある「情報の壁」はサブプライムの場合に通じる。食品セクターに身を置く僕らはこのような事案は他人事ではない。弊社は川上の状況を常に把握する努力を継続し正確な情報を発信しないといけない。

今回の教訓:川上の不祥事は、川下で増殖された被害をもたらす。

水広場的ファイナンス論1.

資本。

準備会社として資本金500万円の確認株式会社からスタートしたグローバルウォーター。僕と相棒は共同発起人として折半出資。営業開始時に1000万になり確認を解消、その後のキャッシュニーズに伴って小刻みに増資、今は5000万円になっている。当初にご出資頂いた2名の恩人を始め、僕らのスポンサーとして大切な個人株主の方々が現れてくれたことに改めて感謝する。

とにかくキャッシュが大事な出来立てベンチャー。しかし、いきなり設立登記自体で15万円、その前の定款作成で9万円、何をせずとも会社登記までにそれが最低必要、増資の度には0.7%か3万円の高いほうを登録免許税として納める。1円資本金制度などつくりながら、システムとして矛盾を感じた。

また、地方住民税は損益とは関係なく資本金の規模により課され、東京都の場合、資本金2000万円~1億円までは一律18万円。調達手段としてデット(負債)よりエクイティ(資本)が適する新ベンチャーにとっては、何故資本金に課されるのか?何故そんなにどんぶりのレンジなのか?という2つの疑問が生じるシステム。理由や背景を知るべく窓口の区役所で聞いたところ、「法律で決まっているので。。」という返答だった。立法当時と現在は環境が違っているはずだけれど。こんなところでもベンチャーがリスクマネーを集めやすいシステム作りが求められている。

その後、こちらからアプローチして国民生活金融公庫と文京区あっ旋融資という、公的制度融資のお世話になった。振り返ると融資額は足して今の月商の半分といったところで多額ではないが、最初は赤字企業でも借りられるのか、試験的な意味もあった。区のあっ旋融資では町内会に入ると枠と利率の両方で大幅に有利になったり、申込当事でも創業融資の枠がもっと大きく取れた可能性もあったけれど、事業の実際のROAを知らなかったから思い切ったデット調達を避けた。

新銀行東京から融資の斡旋の電話(コールドコール)が来たこともあった。内容を伺って丁寧に断らせてもらった。想定される利率が僕らが利用している制度融資より単に高かったからだ。制度融資は中小零細の経営と雇用安定を支える立場ゆえ、貸出金利は対象リスクに対して低く抑えられていたり、リスクが高く民間では貸せない先に融資するわけで、当然の結果として民間会計基準では債務超過になる場合があるが、それを国や地方がバックし資金供給を行い、要は間接的に一人ひとりが少しずつシステムを支えるような仕組みだ。非営利的レゾン・デートルを持つ制度融資が存在する社会で、新銀行東京に対する需要は最初から限られていた。営利機関としての立場でサブプライムのごとく非適格者向け乱脈融資が起こった本質的な原因はミス・マネジメントというより、都銀の貸し渋りの真相を見誤り構造的にニーズの存在しない業務を始めたことだと思っている。

ところで、ここにおける本当の疑問は新銀行東京ではなく、制度融資の根幹たる公的金融機関の民営化の先について。民営化後に適正利ざやの適用(貸出金利引き上げ)や回収(貸し剥がし)が必要になることは想像でき、事実として現存する借り手が頼るものとして自治体のあっせん制度ぐらい、ということになる。借り手からすれば、現在の約定がまさか変わるとは思えないが、とにかく急激なシフトは避けてもらいたいと願う。

株主が増えていくと、当たり前だが僕ら共同発起人2名の持分比率は薄まる。発起人&経営者として一定の比率を維持することは意思決定スピードで有利であり、結果的に他の株主利益にも資するはず。

そういう時には自らが追加出資すればよい。しかしそんなお金はない。家族の生活はある。こんなジレンマは自宅マンションを売却することでひとまず解消した。反対するかと思った家内はこちらの悩みをどこかで感じていたのか、理解してくれた。江戸っ子気質というのか、どこか潔いところがあり、有難いことだ。しかし初めての不動産売却体験、簡単に売れるものでもないことが分かった。売りに出してから6ヶ月、市況悪化が見えてくる中、大幅に値段を下げて何とか売れた。でもまだ買った時の値段より高い。売りのアクションがもう少し遅れていたらと思うと冷や汗もの、ぎりぎりセーフであった。新築で買ってから4年、引越しの時に寂しさを感じたけれど、それほど悪くもない投資だったと適当に納得した。ただ、近くの賃貸物件に越した後、それまで明るく近所に馴染んでいた5歳の息子が黙り込んだ時は少し辛かった。「大丈夫。ここだっていいマンションだし、これからもいいご近所とお友達が一杯できるよ」。それから数ヶ月、6歳になった息子は僕がUチューブで見つけた恐竜と豚のおならアニメで笑い転げている。