発泡
フランスのミネラルウォーターは、エヴィ アンをはじめ世界中で流通している国際ブランドと、水源地中心に国内市場で主に消費されるローカル(リジョナル)ブランドに大別でき、オジュは後者だ。
国際ブランドとローカルブランドの分岐点は水源を所有する企業規模でほぼ決まり、自然な成り行きとして国際ブランドの多くが大手メーカー傘下で輸出される。 欧米の大手メーカーは国際/ローカルを問わず将来性のある水源とブランドを買収し飲用水事業の規模を拡大する。
全世界で恐らく1万を超える水源でミネラルウォーターが製造されている現在、その過半数は大手資本に属さない中小企業が持つもの。それらは主にローカルブランドであるが、彼らメーカーの多くが海外にも販路を追求しているのも事実だ。
リジョナルブランドといってもそれらの中身がメジャーに劣る訳ではなく、中にはメジャーブランドを圧倒するような特徴を備えた水もある。採水量や営業面での制限など、それぞれの様々な事情により、リジョナルウォーターの多くは輸出されることなく地元に留まるが、それこそがリジョナルウォーターの価値との指摘も。
スペインとの国境近くのピレネー産リジョナルブランドの代表格といえるのがオジュ(OGEU)。水源地は南フランス・ピレネー山脈西部の大自然に位置するオジュ・レ・バンで、そこは夏涼しく冬は雪に覆われる一帯。
奇跡の水として世界に知られる、「ルルドの泉」がある寺院に連なる高地にある水源地でそのままボトリング。程よい発泡性は加圧されたものだが、硬度は169であまりクセは無く、テーブルウォーターというよりいつも持ち歩く補水ウォーターとして重宝しそうな中身。
同地域で採水ボトリングされる銘柄の中で、最もルルドの泉に近い距離で採水されているのが、オジュ。しかしボトリング会社とのやりとりから、ルルドの泉に対する外国人(日本人?)の熱狂と、それをクールに傍観する地元との温度差が漂ってくる。
オジュのラベルには、ルルド云々は謳われていない。