ヴィテリウスが浴びたという水
無発泡
ドイツに隣接するフランス北東部ロレーヌ地方は、緩やかで緑豊かな丘陵がヴォージュ(Vosge)山脈に連なり、清々しい空間が無限に広がる感覚を覚えるところ。ヴィッテルの故郷はこのヴォージュ山脈の麓に位置する町ヴィッテルで、 そこにあるテルマリズム(鉱泉治療)センターには多くの人が訪れる。土壌汚染防止に近隣農家達とも一体で取り組む姿勢が賞賛されるヴィッテル、それはコントレックスヴィルも遠くない場所。
古代ローマ時代からこの地の療養水は知られ、近代に入り1854年に本格スパリゾートとしての運用が開始されると評判が広がり、1882年には水のボトリングが開始された。スパ常連客の一人、パリのオペラ座を設計したシャルル・ガルニエがこのテルマパーク全体の開発に参画し、カジノを自ら設計した。
ヴィッテルの地名は、紀元1世紀にローマ皇帝ヴィテリウスがこの泉の水を浴びて病気を治療したことに由来するという。ヴィテリウスの皇帝即位は内乱時代の約半年間であるので、事実であるとしたら皇帝になる前に司令官として今のドイツとフランスを含むゲルマニアに駐留していた時のエピソードと推論する。肥満体で知られたヴィテリウス、古代ローマ人は農作物主体の食生活だったというから、肉中心のゲルマン的スタイルが影響し、今で言う生活習慣病を患ったのかもしれない。
それから2000年、ミネラルバランスに優れたこの鉱泉の天然水は全世界で愛されている。