世界名水紀行
ニュージーランド編 ブルースプリング(秋)
ブルースプリング。世界的にも稀な美泉であるこの冷泉と久しぶりの再会を果たす。前回は夏(12月)、今回は5月だから南半球では初秋ですが、秋のブルースプリングもやはりというか見事なものでした。
ボトリング工場からブルースプリング源泉へ
大自然に恵まれ、公害汚染とはほとんど無縁に思える環境立国のニュージーランド。浄水場に流れ込む原水が良いためか、最大都市オークランドの水道水もきれい、ホテルの洗面所の水も平気でごくごく飲める。そのニュージーランドで人気の高いボトルドウォーター(日本でいうミネラルウォーター)がプタルル産の水、厳密にはプタルル近郊を流れるワイホウ源流の湧水を採水した一連の商品である。同国のメジャーブランドのパンプもプタルルの水だ。
ワイホウ源流の湧水群で、湧水量、水質、景観の全てにおいて比類なき存在として知られるのが「ブルースプリング」。名前のとおりの鮮烈なトゥルー・ブルーの源泉が複雑構造の丘陵の割れ目の奥で輝いている。静謐でありながら圧倒的なスケールでその冷泉を包む周囲一帯に時々こだまする聞きなれない鳥達の鳴き声、それは無音よりかえって静けさを増すようでもあり、そこを訪れる人間はただじっとその青に魅入ることになる。
そんなブルースプリングを再訪。源泉名をそのまま商品名にしたミネラルウォーター「ブルースプリング」をボトリングするニュージーランド・クオリティ・ウォーター社のオーナーであるイアン・ライリー氏と彼の部下で元プロ・サイクリストのウェイン・メイソン氏と3人で訪れた。ブルースプリング一帯は車で入ることが禁じられているため、牛たちが出迎える丘を越え、源泉に向かう。
丘を越えて最初に目に入る光景がワイホウ支流を流れる澄み切った清流。1メートルぐらいにしか見えない水深が実は5Mぐらいだったりする、とにかく透明度が高い水がゆったりと流れる。
源泉へ
流れにいざなわれるかのように進み、すんなりと源泉地点にたどり着く。ブルースプリングの源泉はでこぼことした丘の割れ目に生えるシダその他の原生植物に覆われ、この美泉を人間の目から守ろうとしているかのよう。
秋のブルースプリングも最高
ついにブルースプリングに再会。夏も勿論素晴らしい景観美を見せてくれるが、秋特有の少し落ち着いた雰囲気に佇む源泉もまさに特筆もの。鮮烈な青い泉は世界に無数存在すると思われるが、毎分4万トンともいわれる極めて質のよい鉱泉水が湧き出す青の美泉は他に見た事がない。丘陵地帯の背後にそびえる雄大なママク・レンジの原生森林の高地に降り注いだ雨雪が百年を越えるとされる時間でろ過され、体に嬉しいシリカを吸収しながらもすっきりとした軟水としてグルメに愛されるテイストに自然に仕上がっている。
ここまでの良質成分、湧水量、美景の3つを揃えた湧水源泉は世界でも多くない。
やっぱり、秋のブルースプリングも良かった。
マオリの人たちが心身を癒したスピリチュアルな場所というのも説得力があった。
NZ髄一の温泉保養地「ロトルア」へ
翌日はウェインとマオリ族のチーフのサニーと3名でブルースプリングから車で1時間弱のところにある観光地ロトルアに向かう。ロトルアは日本でも知名度が高い、NZで1、2を争う観光地。マオリ族のミュージアムとロトルア間欠泉を見学し、30mの高さに吹き上がる豪快な間欠泉に目を見張る。
洞窟とハギ、そしてカンパイ
サニーはマオリ族の酋長だった人で、道でマオリ族の人たちと出会うたびに話をする。純粋なマオリ族の人間と出会うと鼻と鼻をくっつけて挨拶をしている。先住民との共生というテーマにおいてはオーストラリアと違いニュージーランドは先住民のマオリの人たちと後から移住した人間との共生が良い形で図られているよう。サニーもイギリス系のイアンやウェインの同僚で、今では彼らの精神的支柱にすらなっているとのこと。僕に対しては「今度来たら自分の家の近くにあるマオリ族が暮らした洞窟や地中で肉や野菜を焼け石で蒸し焼くマオリ料理「ハギ」を料理しよう」と言ってくれた。Thank
youとシンプルに例をすると、「カンパイ」と言うので、日本語を少し分かっているのかと勘違いしジェスチャー入りで「カンパイ」と返す。後でサニーに聞いたら「カンパイ(正確にはカパイ)」はマオリ語でありがとうを意味するらしい。彼と別れるときに「カンパイ」を連呼した。
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