世界の名水紀行


セルビア・VODAVODA

名水の宝庫、バルカン半島。水広場の世界名水紀行でも注目の地域のひとつということで、ルーマニア、クロアチアに続き2回目の水源視察となります。2008年冬、戦禍の傷跡がまだ生々しい厳冬のベオグラードから旅は始まります。偶然か、まさにその時、訪問先の飲料水メーカーの買収劇の幕が切って落とされていたことが後に判明することになります。

ベオグラード

ベオグラードの目抜き通り、日本では霞ヶ関に該当する一帯でもNATO空爆で破壊されたビルが並び、この先の長い復興の道のりを想像させます。



今回の水源視察の目的地はセルビア有数の温泉保養地とそこでVodavodaブランドのミネラルウォーターを製造するVODAVODA社。同社を率いるのは若くして成功した起業家ジョルジェビッチ氏。天才的なブランディングの才能を持ち、当方訪問時にはそのカリスマ的雰囲気で包まれた笑顔で迎えられました。



VODAVODAの工場はEU基準の品質を満たし、クリアウォールを多用し外光をふんだんにとり込んだそのデザイン性はジョルジュビッチ氏のセンス、いや彼の信条の表象ではないかと思わせる先進的な上質感を漂わせています。先進国でもこれほど先端的なデザインの工場は見た事がありません。建屋の前で写真に納まる水広場の堀内、緊張していたのでしょう、直立不動になっています。



製造設備は最新製が揃い、当日もペットボトルの充填が行われていました。自動化されたプロセスを例の特徴ある四角柱のボトルが大量に充填されていきます。



VODAVODAのデザインのもう一つの特徴である大口径キャップですが、とても魅力的なデザインです。他方、一般消費者の期待品質度が非常に高い日本市場で、浮遊物は大丈夫だろうか等、当方はいろいろと余計な心配をしてしまいました。

Bottled at sourceですので、井戸は工場敷地内にあります。ヨーロッパのミネラルウォーター工場の井戸は大体こんな感じですね。水質は硬水で、一般の日本人が飲むと少しクセを感じる味です。


工場の近隣は簡易温泉設備が。足湯や飲泉をするようです。




工場と水源の確認が終わり、ベオグラードへの帰路に。



宿に到着、ガイド役で世話になったセルビア人とロビーで歓談していたらテレビのニュースが喧しい。どこかで見た顔だと思えばさっき会ったばかりのジョルジュビッチ氏の写真がでかでかと、そしてもう一人もどこかで見たことのある。。と思ったら思い出した、NBAレーカーズの補欠センターだった人だ。。確か名前は、、そうテレビが言っている「ディーバッチ」。

セルビア語は全く分からず、セルビア人ガイドによれば、VODAVODAの壮絶な乗っ取りが勃発、どうやらディーバッチ氏が新たなオーナーになる公算とのこと。「えっ、さっきはそんなこと一言も聞いてないぞ」と思いつつ、「まあ、それなら当然か」と元インベストメントバンカーの私はつぶやいた次第。

   

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